鳥みたいな粒のはなし
最近、道路や玄関など至る所で見かける小さな鳥型の粒は何ですか?
こういう質問をここ連日いただいています。
粒はミニ大通沿いの歩道や交差点に沢山落ちていて、靴の裏にひっついたまま知らずに持ち帰ってしまい、玄関やなぜかリビングにも落ちていたりするそうです。モチロン当店の中にも連れてこられたこの粒が沢山落ちていて、毎朝の掃除で無心に吸い込みます。
粒の大きさは5㎜程度。見た目はカモメや紙飛行機にも似ています。映画「千と千尋の神隠し」に出てくる人型の紙きれみたいだとおっしゃる方もいましたが、この粒に呪いなどは掛けられていません。
これ、実は樹木シラカバのカケラ。そして種子ではありません。
果鱗(かりん)といい、シラカバの枝に見える細長い実(果穂)が熟して、そこから飛び散った種子セットの一部なのです。
とても小さなシラカバの種子は見た目が蝶の形に似ていて、種子マニアのウケもなかなかいい面白い種子です。その種子は通常3つが1セットとなって飛散するんですが、その時にセットをまとめている梱包材のようなものがこの果鱗です。
シラカバに限らず多くの植物は種子を自分から離して発芽させたいと考えます。最低でも自分(親木)の木陰の外へ。その時にシラカバが考えだしたのが風を利用して効率よく沢山の種子を飛ばすためのシステム、そのパーツが羽ばたく鳥のような形になりました。ちょっとしたオシャレ心なのでしょう、花粉だけにとどまらずシラカバもなかなかやりますね。
シラカバの種子セット、飛行した後で分離して役目を終えた果鱗が吹き溜まりや道路に集まり、皆さまのステキな靴によって玄関やこの店にやってくるのです。
果鱗は残念ながら発芽しません。もちろん千と千尋の神隠しにも出てきません。掃除が面倒なだけですがどうぞご安心ください。