雪割り注意報
3月も後半になり、増税だの転勤だの入学といったソワソワ感と同じようなものなのか、ここ札幌でも積もったガチガチの雪をツルハシなどで割る「雪割り」の光景を見かけるようになりました。
早く雪を解かして生活の範囲を広げたり、秋植え球根や宿根草を早いとこ芽吹かせたいというお気持ちもわかりますが、この時期、人為的に春を早めることには気を付けないといけません。
まず注意したいのは雪割り(除雪)で表土を露呈させた場合に生じる地表面の寒暖差。
植物だけじゃなく塀や舗装などの構造物にも気を付けたいプラスとマイナスの温度差。
ここ最近は昼間がプラス気温になることが多いんですが、夜はまだまだ零下です。雪が積もっていると雪自体の断熱作用で昼夜の地表部温度差は殆どありませんが、表土が露出した場合はその断熱が突然なくなります。
すると昼間のプラス気温で地表部にだけ余分な水が留まり、その水は逃げ場がないまま夜を迎えて零下になると強烈な力で膨張し氷になります。その膨張の力は頑丈なアイアンの鉢を破壊してしまったり、時には分厚い舗装ですら凍上破損してしまうことも。
また、「よし、春が来た」と早トチリした植物が芽吹いた途端に凍害で傷んでしまう場合もあります。植物の冬囲い撤去と同じく、長期予報などで時期を見極めないといけません。
次に注意したいのは雪割りの作業。
準備運動不足で腰などを痛めてしまう以外にも、ツルハシや大きなスコップを使って力任せに作業をする際、雪で隠れていた植物や構造物を破損してしまう場合がよくあります。
雪の下に何があるか、どれ位の深さに何があるか、作業の前にちょっと思い出しつつ準備運動をしてから慎重に雪を割りましょう。
まだ夜間が零下の時期、生活に支障がない限りは自然に任せて雪を解かすのが一番です。植物はゆっくり溶けていく雪や氷にあわせて春を察知し、自分がいつ芽吹くべきかを考えます。
それまでの間、新しく植える苗の種類をじっくり考えてみたり、ミニ大通の小さなガーデニングツールの店に行ってみるのがオススメです。
間違いなく雪は解けます。急がず成り行きで春を迎えてみましょう、
と話を締める前に今度は相反して雪割りのすすめ。
北向きの花壇など、5月近くになっても雪がなかなか解けない箇所に植物がある場合は4月中旬頃までに雪割りするのがオススメです。
周りはすっかり春なのにその部分だけいつまでたっても雪の下にあっては春に出遅れ、芽吹きも遅れ、開花やその年の成長自体に影響を及ぼすことがあります。特に除雪した雪を体積して氷の塊になっていたような花壇にはご注意ください。