刃物の油
ゴリゴリザックリ掘ったり切ったり、場所も気候もミリ単位の正確さもお構いなしに使うガーデンツールは本来タフに作られているものであり、使う人の想像力によって説明書以上のポテンシャルを発揮できる大らかで素晴らしい道具だと思っています。
しかしそんな豪快ガーデンツールにもメンテナンスは必要です。愛着ある相棒を長く調子よく使っていくには説明書に沿ったメンテナンスをオススメしていますが、まず知っておきたいのがガーデンツールの素材として多く使われている金物のサビ止めと潤滑に使う油です。
鉄は水や酸素に触れて酸化することで錆びます。それはステンレスも同じ。
サビを予防するには鉄の表面に被膜をつくって水分や酸素に触れないようにする必要があり、一般的には鉄に油を塗って被膜をつくります。
刃と刃を擦り合わせるハサミは油で被膜を張ることにより潤滑剤の役割も果たしますが、使ううちに油分はとれてしまいますので使用後は毎日掃除をして乾燥させて油をさしましょう。
そしてその油。
道具のサビ止めや潤滑油として販売されているものは一般にミシン油にような鉱物系機械油が多いのですが、キッチンガーデンなど食用植物の収穫に使うハサミやナイフに機械油を使うことを避けたい人も多いと思います。もちろん機械油を塗ったハサミやノコギリなどで剪定をしたら植物に何か影響を及ぼすようなことは私自身経験がありませんが、収穫して口に入れるものに機械油を使うとなるとやっぱり気が引けてしまいますね。
そこでオススメしているのが家庭で使う植物系オイルや調理用刃物に使う食品添加物規格適合オイルです。
植物系オイルはオリーブオイルや椿油といった不乾性油を選びます。不乾性とは時間が経って油分自体が酸化しても固まりにくい特性があるもの。サラダ油のような乾性、半乾性油といわれる時間の経過でベタつきやすい油は避けましょう。また、オリーブオイルの匂いが気になる方は椿油でもいいのですが家庭用でも種類によっては添加物が入っている場合もありますので内容表示にご注意ください。
もちろん植物系オイルを使うのはたまたま刃物油がなかったり家庭に余っていればという話ですが、豪快・寛容なガーデンツールの為にあえて割高な植物系オイルを購入するのであれば、食品添加物規格適合オイル(調理用刃物オイル)をオススメします。成分は食品添加用流動パラフィン、食品加工や医療、ベビーオイルなどでも使用されるものです。当店ではビクトリノックス社やAZ社の取り扱いがありますが、ホームセンターや調理器具店での販売もあるようですので是非お試しください。
ハサミに油をさす方法はカシメ(軸)の部分に油を落とし何度かシャカシャカと開閉し、その他の部分はクロスなどで油を薄くまんべんなく伸ばします。刃物の汚れを取って乾燥させてから塗布してください。
また、スコップやショベル、ハサミのハンドル部分には鉄部用カラースプレーやペンキを塗って滑りにくく強い被膜をつくることができます。
そろそろ北海道はオフシーズンに入りますね。今年も苦労を共にした愛着ある道具をじっくりメンテナンスして次の春に備えましょう。