ハマグリーン

フローリスト業界では、店員さんから華道家さんにまで多く使われている新潟県三条市の坂源のはさみ、持ち手にクセがある人でも初心者でも、キチンとスパッと切ることができる実にいいはさみなのですが、私の周囲の植木屋・造園家さんにはまだまだ認知度が低いなと感じています。

画像は坂源の剪定ばさみ5,832円。

感触だけでもわかる擦り合わせの正確さや軸の強さも見事。余計なストレスがなく、切り終りまでシャコっと切れて、頻繁に砥がなくても切れ味が持続します。

写真はいつもの店外Bスタジオで撮ったのですが、鏡のような上刃に緑がまぶしいミニ大通の並木が映っています。

これを鏡面仕上げといい、上刃をテカテカに磨き上げることで汚れや水分が留まりにくくなり、鉄部の劣化予防になると聞きますが、このテカリには作り手の覚悟や情熱を感じるとともに、使い手にとっては「これ持って下手な仕事はできないな」と気持ちの引き締め効果もあると思っています。

手描きの断面図がシンプルに下手なのでわかりにくいはずですが、剪定バサミの上刃には刃表が丸まっているハマグリ刃と、ストレートの直刃という大まかに2種類のつくり方があります。

国産上位クラスの剪定ばさみに多いハマグリ刃は刃先辺りが厚い分、切りはじめにちょっとだけ力とコツが必要なのですが耐久性があり、量産品やフェルコなどの輸入品に多い直刃は枝への食い込みが良く、切りはじめの負荷が少ないけれどハマグリ刃よりは耐久性がやや低いかなと私は思っています。もちろん耐久性とは切る際に鋏を左右に振る(こじる)ような間違った使い方をしなければ問題のないレベルで、フェルコで採用されている粘りのある刃物鋼は直刃でも充分な耐久性があります。

女性のご来店が多い当店では、負荷の少ない直刃をすすめることが多いのですが、ハマグリ刃にご興味がある方は「その手は桑名の焼きはまぐり」という中高年ウケしそうなお察しとお言葉はいりませんのでひとこと「試したい」とおっしゃってください。

DSCN6754 イラスト

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