ヘッジロウ

Hedgerow(ヘッジ ロウ)という言葉があります。生垣という意味で、主に木や草を使ったイギリスの垣根を意味します。

ヘッジロウは日本の生垣とちょっと違い、イギリスらしい雑然さと独特の牧歌的でナチュラルな雰囲気があります。イギリスの田園都市に行くと宅地や畑の周りに背が低い生垣が連続している景観がとても美しく、中には観光名所になっているヘッジロウもあります。

植えられている植物は単一でなくサンザシやイボタ、ノイバラなど雑木や藪のような印象の植物がほとんど、そこに鳥や獣が運んできた植物が混じり、ゴチャゴチャした混沌の生垣ができます。

日本にも混ぜ垣という数種の樹木で作る生垣がありますが、そこには花期のずれや紅葉の違いなどを楽しむ鑑賞的要素が高いように思います。ヘッジロウの場合は「何でもいいからとにかく早く茂ること、動物や部外者が入らないようにトゲがあれば尚いい」などと見た目よりも成長スピードや機能重視です。

そしてメンテナンス。

植木屋が両手鋏やバリカンで垂直水平に刈り込む日本らしい生垣と違い、ヘッジロウでは枝をヘシ折って曲げて隣の幹枝に折り込んだり、邪魔な枝を鎌でバサバサに切り落とすといったちょっと乱暴な枝払いを行います。もちろんイギリスでは垣根の距離が日本とは違うのでキレイに剪定などしている余裕はないのかもしれません。

ここ北海道でもたまに牧場など柵の代わりとして雑然と植えられたシラカバやカツラ、ニレなど(おそらく山で採ってきたもの)がガリガリに刈られて低木として仕立てられている光景を見る事がありますが、生垣をなす為の植物を選ばないと管理が大変だったり、肝心な低い位置の枝がなくなって小動物が簡単に通り抜けたりしてしまいます。

お庭にヘッジロウを作りたい!と憧れる方がいらっしゃいましたら以下のヒントをご参考にどうぞ。

・ちゃんとした生垣になるには5年や10年は余裕で掛かると気長に思うこと

・植物を植えると同時に90㎝程度の間隔で腰の高さになるような杭を打つ(支柱や枝誘引の役割)

・茂るまで待っていられないなら拾ってきた長枝や萩などを横にして杭へ雑に編み込んでいく(素朴な牧柵のイメージ)

・トゲがある植物は後々後悔する(メンテナンスの際に心が折れる事が多い)

・つる性植物を効果的に混ぜるとよい(ホップがオススメ!)

・レンギョウ、ウツギなど成長が旺盛で小枝が沢山出る低木は特にオススメ!

・ベリーなど実ものをいくつか植えておくと小鳥もやってきて種を落としてくれる

・根元に宿根草を植えると裾を充実してくれる

・キチンとした剪定はせず、伸びた枝を横の杭や木に織り交ぜるか切り払う程度

こんな感じで少々アバウトなスタンスで臨むとイギリス的ないい感じのヘッジロウが出来ていきます。

ヘッジロウ

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