剪定ばさみ・枝切りばさみ

「茂みの中の小鳥の巣」みたいなこの店にツールだとか園芸について海外からもお問い合わせをいただくことがあって、何かの間違いだろうけどシメシメ嬉しいなと思うことがあるのですが、たまに重なるハサミについての質問をまとめてみました。

画像のハサミ、ガーデナーは「剪定バサミ」と呼び、フローリストからは「枝切りバサミ」と呼ばれる園芸バサミです。このハサミは先端(刃先)が見えにくくて芽摘みや採果のような繊細なカットが苦手なのですが、太めの枝や硬い枝をザックリ切るの適しています。

剪定バサミも枝切りバサミも実際には同じもの。ですがこのハサミには「バイバス型」と「アンビル型」という2つのタイプがあって、その違いをご存知の方はまだまだ少ないように思います。

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一般に多く使われているのは、切り刃と受け刃があるバイバス型のハサミで、一方のアンビル型は「まな板」のようなプレートに切り刃を当てて枝を断ち切るもの。バイパス型は包丁のような引き切りで枝をカットするのに対して、アンビル型は薪割りのようなイメージで枝をカットします。

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現在、日本国内での製造・流通数はバイパス型の方が断然多いのですが、歴史あるドイツLOWE社のアンビル型ハサミが一般メディアで紹介されるようになったり、国内大手のメーカーでもアンビル型のハサミが長年作られていて、ここにきて人気が出てきたとは思いませんがアンビル型を愛用している方が確実にいらっしゃるのと、アンビル型を選ぶかどうか迷う人がいらっしゃるのも事実です。

そんな迷いがあってもアンビル型のハサミを手にしたことがない人のご参考になればと思いますが、使い手であり売り手でもある私がアンビル型を使って思うのは、

・樹脂や鉛でできたプレート(まな板)が消耗する(メーカーによっては交換可能)

・まな板の幅が邪魔して際(きわ)切りできない(数ミリの切り残しが発生する)

・バイパス型と比べ、腕に衝撃と負担を感じる(サクッと切るよりバチンと断つイメージ)

という理由から長時間ハサミを酷使しがちな植木屋さんやガーデナーにはオススメできないなと思っていますし、そもそも際切りができないのはプロとして仕立てる剪定のクオリティでは致命的です。

一方、いい面として、

・右手でも左手でも使って大丈夫(バイパス型は右利き左利きが別)

・縦切りしやすい(活け花などで枝ものを水揚げする際に枝の根元を縦に割ること)

・ハサミの機能で大切な切り刃と受け刃の擦り合わせがなく、製品の個体差が出にくい

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右利きの人も左利きの人もまとめて複数でハサミをシェアする場合や生花・切り花用としては向いているかもしれません。

また、アンビル型のハサミは構造上の理由から重たいとか、枝をまな板の面で受けるために切り口が潰れにくくバイパス型よりキレイに切れるという噂を聞いたことがありますが、これまで数社のものを扱ってきてそういう風に感じたことはありません。

以上、初心者の方にはちょっとわかりにくいかもしれませんが、受け売りではないけど小鳥レベルの考えとしてハサミ選びのご参考にしていただけたら幸いです。

作り手の思いが売り手のフィルターを介して使い手にわかりやすく伝わるといいなと思いますし、その逆で使い手のフィードバックが作り手に伝わるといいなと思います。そのためには橋渡しとなる売り手が道具と園芸と植物に精通しておく必要があるものの、実際には売り手である店員さんやネットストアにそこまでを求めるのは難しいかもしれません。たまたま今の当店だったらそれができそうな気がしていますので、ご意見ご感想などございましたら是非お聞かせください。

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