ガーデニングと消毒

はさみやノコギリや園芸ナイフを介して植物に病気を移してしまうかもしれないというご心配から、刃物の消毒についてお問い合わせいただくことがあります。

人と同じように植物の病気も主に菌やウイルスが原因で、うどんこ病や立枯病など、たくさんの名前の病気があります。

その中でも、「刃物から病気に感染してしまうらしい」と噂されることが多いのは「モザイク病」という病気です。うどんこ病のような菌の被害と違って、モザイク病は植物ウイルスが感染して発症する病気です。

モザイク病の画像を持っていないため、ここに写真を掲載できませんが、ガーデニングをする方はネットで検索して発症した植物の画像や症状を覚えておくといいです。

モザイク病は、菜園の野菜にも鉢植えの植物にもお庭のきれいなバラにも感染してしまう病気で、感染すると「植物の観賞価値(商品価値)が下がる」と言われ、特に生産者や販売店が恐れる病気です。ただ、モザイク病に感染して植物が枯れたというのを私は聞いたことがありません。また、モザイク病はあくまでも植物ウイルスなので、人やペットへの感染はありません。

そしてこのモザイク病、決して刃物だけが感染原因ではないんです。原因のほとんどはケムシやアブラムシなどの虫です。

植物から植物へと渡り歩いてきた虫が、葉や根をかじったり汁を吸うとき、たまたま虫の口にくっついていたウイルスが植物の中へ入り込んでしてしまうケースがほとんどで、それ以外として、ガーデナーが植物から植物へ渡り歩いて枝葉をカットしたり株分けや収穫をするとき、うっかり病気の植物に触れた刃物や手指からウイルスが移る場合もあるということのようです。

病気を予防するには、

①害虫の発生を予防すること

②病気の症状と種類を知っておくこと

③感染してそうな怪しい苗は買わないこと

④病気になった植物がないか観察しておくこと

⑤植物の傷ついた組織に刃物や手指が触れるリスク

以上を意識しておくのが大事だと思っています。

ただ、私としては、「自宅でガーデニングを楽しむには、そんなに過敏になる必要なし」と考えていて、特に①から④までを気にしておけば、⑤を意識しすぎて常に刃物や手指を消毒しなくても大丈夫!とアドバイスをしています。一部の人をのぞいて。

一部の人とは、植物を繁殖させている人です。

植物を生産・販売するプロなら感染対策について私が言うまでもありませんが、人気の多肉植物やレアプランツと呼ばれる植物を収集し、繁殖させてお友達へプレゼントするのが趣味だけど、植物の病気についてはあまり意識していないという人がもしいらっしゃれば、ご自分の手指や刃物に要注意です。

【次回、そんなあなたに伝えておきたい消毒】

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